晴れたらいいね

no photo no life

プラド美術館展~ベラスケスと絵画の栄光

国立西洋美術館で開催中の「プラド美術館展~ベラスケスと絵画の栄光」に行ってきました。去年は興味をそそられる美術展が少なく、美術館に足を運ぶことは少なかった。今年初の本格的美術展に大いに感動し、満足しました。

2018030211.jpg

当初はこの展覧会に行く気はなかったんですが、ちょっとした幸運に恵まれて俄然興味が湧いてきました。

というのは、

2018030215.jpg

あの中野京子さん繋がりだったんです。先日ここにアップした「怖い絵」「名画の謎」シリーズの延長で、中野さんの本を引き続き何冊か読んでいたんです。たまたま昔から興味のあった「ハプスブルク家」のことを美術品と関連付けた中野さんの「ハプスブルク家12の物語」を読んでこれまたえらく感動したばかりだったんです。今回王室の肖像画も出品されているということで早速出かけました。

スイスの一豪族から大出世、列強のパワーバランスによって偶然ころがりこんだ神聖ローマ帝国の地位をバネに、以後、約六五〇年(13世紀から20世紀初頭)にわたり王朝として長命を保ったハプスブルク家。

『狩猟服姿のフェリペ4世』に描かれているフェリペ4世(1605-1665)はスペイン・ハプスブルク家の一員でスペイン国王です。政治に関してはまったく意欲や能力はなかったんですが、美術品に対する審美眼だけはセンスが良く、王室のコレクションを充実させました。まだ駆け出しの若いベラスケス(1599-1660)の実力を認め、宮廷画家として厚遇しました。

2018030205.jpg

ハプスブルク家の人間に極めて特徴的な「突き出た下顎」「分厚い下唇」の顔立ちが見てとれます。この顔の特徴が代々続いていきました。

パンフレットの表紙にもなっている馬上の王子『王太子バルタサール・カルロス騎馬『』。かわいいけどちょっと気難しい顔をしている。フェリペ4世の長男として生まれた王子だったんですが、結婚前の16歳で急死してしまいます。ところが父親のフェリペ4世は王妃がなくなるとこの王子の婚約者だったマリアナと結婚しちゃうんです。もっと言えばこの夫婦は叔父と姪の関係です。この王室ではこんなことが普通だったんです。

フェリペ4世の跡継ぎのカルロス2世の肖像画も『甲冑姿のカルロス2世』として父親の近くに飾られています。甲冑姿で勇ましく描かれていますが、これは相当粉飾されていたらしく、「病弱で知能も低く精神を病んでいた」ということです。結婚はしましたが子供に恵まれず、39歳で息をひきとりました。

もうひとつ肖像画で素晴らしかったのは『王女イサベル・クララ・エウヘニアとマグダレーナ・ルイス』。王女の豪華な衣装を描き上げた技術もすごいですね。この王女はフェリぺ4世の父親のフェリペ3世の腹違いの姉です。ですからフェリペ4世の叔母様になります。ほんとハプスブルク家の家系図を追っていると頭がこんがらがってくる(笑)。

詳しくは省きますが、ハプスブルク家は血族結婚が極めて多く、悲しいかなそのために死産や先天性の病気、乳児死亡率が高く、やがてスペイン・ハプススブルク家は1700年前出のカルロス2世の死去により終わりを迎えることになったんです。もうひとつのオーストリア・ハプスブルク家は1918年、第一次世界大戦の終了とともに最後の皇帝カール1世が退位して長いハプスブルク家の歴史を閉じました。

少し話が横道にそれましたが、展示品の中でも肖像画は格別ですね。どちらかといえば無表情なんですが、眼差しが彼らの心の内を表しているように見えました。肖像画の前に立つと何故か見る側の心が落ち着きます。他にはティツィアーノ・ヴェチェッリオの『音楽にくつろぐヴィーナス』もよかったですよ。ティツィアーノ・ヴェチェッリオをひとつ見たかったのが実現した。今回作品の予備知識があったのでいつもと違った見方が出来たし、思い入れが一段と強くなりました。平日の午前中でしたが少し混んでました。

そして上野のお山から鉄っちゃんを少し。

2018030207.jpg

アメ横が見えます。

2018030208.jpg


2018030209.jpg

ハプスブルク家に関する詳細は中野京子さんの「ハプスブルク家12の物語」を参考にさせて頂きました。

E-M5 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8
スポンサーサイト
  1. 2018/03/02(金) 17:50:05|
  2. 美術展
  3. | コメント:1

歌川国貞展~静嘉堂文庫美術館

大井町方面に野暮用があって出かけた。途中二子玉川で下車して歩くこと25分、ちょっと迷ったけど「静嘉堂文庫美術館」に着きました。全く知らなかったこの美術館で「歌川国貞展~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち」が1月25日から3月25日まで開催されています。

久しぶりの美術展で楽しみだったんですが、初めての美術館ということでちょっと不安はありました。でもなかなか良かったですよ。江戸時代後期を代表する浮世絵師の歌川国貞(1786-1864、三代目歌川豊国)は美人画と役者絵を得意としました。

2018021501.jpg

大首絵は五代目松本幸四郎(仁木弾正左衛門直則)です。つい先日十代目松本幸四郎の襲名が行われました。名跡は今日まで脈々と受け継がれています。

一番驚いたのは、とにかく「摺りたてと見紛う鮮やかさ」です。過去に錦絵は数々見てきましたが、展示されている錦絵すべての色鮮やかさには驚かされました。「ほとんど光に当てることなく保存されてきた」そうです。

役者絵は少なく、ほとんどが市井の女性や吉原の花魁を描いたものです。おかみさん連中や町娘の暮らしぶり、遊女の生活の一端がうかがえました。それにして女性の身に着けている着物の種類の多いこと、色目も多種多様です。それらを丁寧に描き切ってます。

もうひとつ、「芝居町 新吉原、風俗絵鑑」が面白く、印象に残ってます。芝居を楽しむ庶民の姿がとてもリアルに描かれていて、思わずにんまりしちゃいます。

2018021502.jpg

「二子玉川商店街」です。華やかで上品な街並みの中にまだ昭和の香りがする商店街が残っているんですね。

2018021503.jpg


2018021504.jpg


2018021505.jpg

二子玉川の街を歩くのは初めてですが、新しさと古さが混在してます。

せっかくですから二子玉川のホームから鉄っちゃんです。ホームから眺める多摩川の景色は気持ちいいですね。暖かくなったらまた和泉多摩川から下流に向かって歩いてみたい。時間はちょうど正午ですが、逆光です。

2018021506.jpg

大井町線の急行かな。

2018021507.jpg

遠くに見えるは二子新地のホームですね。

2018021509.jpg

大井町線の各駅停車。

E-M5 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6Ⅱ
  1. 2018/02/15(木) 16:38:52|
  2. 美術展
  3. | コメント:0

運慶展は素晴らしかった

東京国立博物館平成館で開催中の「運慶展」に行ってきました。開催から1ヶ月が経つというのに人気は衰えません。

2017102602.jpg

30分ほど並んで入場出来ましたが、予想以上に会場内は混んでました。今回の展示方法がよかったのは、多くの作品が360度ぐるりと見られることです。仏像の後ろ姿ってとっても興味深く、結構重要なんですね。わずか1mの手の届く近さから鎌倉時代の国宝の仏像をじっくり見ることが出来ました。

絵画と違った立体的迫力にただただ感嘆するばかりです。仏像表面のすべすべ感に驚きます。800年以上もよく無事で今日まで残ってましたね。似たようなものがあってちょっと頭が混乱してますが、印象に残ったのは①大日如来坐像(デビュー作)②八大童子立像(童子の表情がとってもかわいかった)③無著菩薩立像 世親菩薩立像(穏やかな表情が堪らない)④天燈鬼立像 龍燈鬼立像(ふんどし姿がかわいい)⑤四天王立像 です。もちろんこの他の作品も素晴らしいですよ。改めて歴史上の偉大な大仏師にこんな素晴らしい遺産を残してくれて感謝です。皆さんにお勧めです。これだけの国宝、重文が一挙に揃うのは当分ないかもしれません。

売店が大盛況でした。図録や雑誌、トートバッグやフィギア、その他もろもろグッズ等々。絵画は写真である程度分かりますが、仏像は現物を目の前にしてその立体感を存分に味わないと真の価値を十分に感じ取れないと思います。展示場で体験したあのイメージをいつまでも頭の中に留めておきたいです。

余談ですが、神奈川県横須賀市の「浄楽寺」から阿弥陀如来坐像及び両脇侍立像(重文)他3点(重文)が展示されているのに驚いた。つい先日このお寺の近くを歩いたばかりです。

2017102601.jpg


常設展も少し見てから外に出ました。お天気も良く表慶館が青空に映えます。


2017102603.jpg

大きな木の下で思い思いに腰をおろし、中にはお弁当を食べている方もいらっしゃいました。

この後久しぶりに谷根千をぶらり散歩しました。ここでも外国の観光客がいっぱいだ。続きます。

E-M5 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
  1. 2017/10/26(木) 17:51:47|
  2. 美術展
  3. | コメント:3

加山又造展から横浜近代建築巡り

横浜高島屋で開催中の加山又造展(8月30日~9月10日)に行きました。ここんとこ全く美術展に行ってないので飢えていた(笑)。本当は「ボストン美術館の至宝展」が本命なんだけど、この天気じゃあ上野まで行く気にならないし、とりあえず近場にしとこう。

高島屋8Fに上ったらびっくり、ものすごい混雑。よく見たら物産展をやっていておばちゃん、おじちゃんで大盛況だった。

2017090701.jpg


加山又造のことはほとんど知らない。第1章から大4章まで年代順に作品が並べられていた。最初は動物をモチーフにした作品が多かったけど、正直つまんなかった。暗いだよね。その後に続く花や小鳥なんかの静物もあまり興味が湧かず、だらだらと進んでいきました。やっと最後の第4章(伝統への回帰)で気に入った作品に巡り合えた。≪夜桜≫≪龍図≫≪淡月≫の大作が素晴らしい。これらの作品を見てやっと来た甲斐があったと思いました。

天気が心配だったけど、このあと7月に見そこなった横浜近代建築を見て回りました。先日も話したけど2010年に集中的に見て回ったんだよね。

20170907map03.gif

最初は横浜指路教会へ。

2017090702.jpg


ここは正真正銘7年ぶりなんだけど、そのまんまだね。車窓から見えるんだけど、教会とは気づかないかも知れない。

1923年の関東大震災で倒壊し、その後1926年に再建されました。1945年の横浜大空襲でも内部が全焼してしまった。建物はフランスの初期ゴシック調建築で、鐘塔、正面入口の尖頭アーチ、列柱、バラ窓などが特徴的です。しばし眺めていたい建物です。


2017090706.jpg


教会は自由に中に入れますが、一応教会の方にひと声かけました。写真はOKです(フラッシュ×)。


2017090705.jpg


2012年12月に創立125周年記念事業のひとつとしてスイス、マティス社のパイプオルガンが設置されました。ちょうど女性の方が練習をされてました。長椅子に座ってしばし聞き入ります。何かそれなりの雰囲気になって来ましたね。


2017090708.jpg


本町通りを歩いたところに旧東京三菱銀行横浜中央支店があります。旧東京三菱銀行横浜中央支店は、昭和9年に川崎第百銀行横浜支店として建築された建物です。重厚な造りは銀行らしいのですが、その後外壁だけを残してマンションに建て替えられました。


2017090707.jpg


交差点の斜め向かいにあるのが銀行協会(旧横浜銀行集会所)です。1936年築。ここも7年ぶりに見たんだけど、お化粧直しをしたんだろうか、いやに外壁がきれいだった。遠目には気が付きませんが、近づくと柱に植物の模様が入っているのが分かります。こじんまりとしたおしゃれな建物です。


2017090709.jpg


重厚なコリント式柱が垂直に並ぶこの建物は日本郵船ビルです。1936年関東大震災のあと再建された。現在は「海運の歴史を通じて横浜の人・物・文化の歴史が分かる「日本郵船歴史博物館」として一般公開されている。


2017090710.jpg


ここで雨がパラついてきた。傘をさしての撮影は落ち着かない。お陰で日本新聞博物館で開催中の銀幕スターたちの写真展を見るのをすっかり忘れてしまった。


2017090713.jpg


現在は横浜第合同庁舎になっている旧横浜生糸検査所。旧建物は1926年に建てられ、1990年に一度全てを解体。その後新しく建造された新庁舎高層ビルの低層部分に旧庁舎の外観を復元させた。

因みに横浜港と日本の近代化に大きく貢献したのが生糸貿易で、開港直後から昭和16年(1941)まで横浜港における輸出品目の第 1位でした。


2017090716.jpg


そしてすぐ近くにあるのが旧横浜生糸検査所付属検査事務所です。1926年竣工。ここに旧横浜生糸検査所関連の建築が4棟あったんですが、すでに3棟が解体されてます。今この建物の周りは建築ラッシュで近づけない。この建物の正面にも工事用のプレハブが立っていて裏側からの写真となってしまった。資料によるとこの建物も一旦解体された上で復元されることになっている、と記されてますが、これは解体前?それとも解体後?


2017090714.jpg


そして最後は旧第一銀行横浜支店(元横浜銀行本店別館)です。第一銀行横浜支店として関東大震災後の1929年に建てられ、昭和55年(1980年)からは横浜銀行本店別館として使用されていた。4本の重厚なトスカナ式円柱が並び、2・3階部分が吹き抜けになっている半円形のバルコニーが特徴です。お堅い銀行の建物としてはユニークな存在ですね。バルコニーがどのように使われたのか興味が湧きます。中をのぞくとカフェがあるようですが、入口が分かんなかった。

天気が芳しくないのでこれで切り上げます。

OM-D E-M5、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8
  1. 2017/09/07(木) 19:45:17|
  2. 美術展
  3. | コメント:0

草間彌生『わが永遠の魂』展を見てきました

国立新美術館で開催されている「草間彌生 わが永遠の魂」展を見に行ってきました。2月22日から始まっていて、連日の盛況ぶりが伝えられていました。なかなか行けなくて焦る気持ちがあったんですが、桜の時期が一段落してようやく今日出かけました。

10時過ぎに着いたんですが、あの若冲を彷彿とさせる大行列がチケット売り場前に出来てました。自分は前売り券を持っているので、お先に失礼。どれほど混んでるのかちょっと心配でしたが、会場内はけっこう広いので押し合いへし合いにならず鑑賞できました。

2017041905.jpg
(真夜中に咲く花)

圧巻は入ってすぐにあった広い会場に埋め尽くされた「わが永遠の魂」の作品の数々でした。

2017041903.jpg

「わが永遠の魂」は2009年に制作が開始された大画面の絵画連作で、あらかじめ単色で均質に下塗りがなされたカンヴァスの上に、筆を用いてアクリル絵具で描かれています。この連作の特徴は驚くべき多様性です。今回の展覧会では総数500点を超える連作の中から、新作を含めて132点を展示しています。

2017041904.jpg

ところでなぜ会場内の写真があるかと言えば、この「わが永遠の魂」の会場のみ撮影OKだったんです、知らなかった。たまたまOM-D E-M5を持っていたので、係りの女性にわざわざカメラを見せて確認して写真を撮りました。

ところがあとで違う係りの女性からこのカメラではご遠慮下さいと言われちゃいました。スマホかケイタイのみでの撮影が許可されているようです。でもたくさん撮ったからもういいや。

2017041908.jpg
(明日に咲く花)

2017041907.jpg

ところでご覧になった皆さんこれらの大作を見て何を感じられたんでしょうか。解説には草間さんの見えざる内面を表現しているということですが、皆さん何かを感じ取れましたか。これらの大作を描き続ける草間さんの個性的な表現力、体力、気力にはほんと感心するんですが、作品それぞれの意図がなかなか理解できない。作品を読み解くというか、自分の心に何を感じるかは人それぞれだと思うのですが、いまいちピント来ない。このような作品は自分の感受性や想像力が試されているようで、おじさんにはちょっと辛いところです。素晴らしい西洋美術を見た時のあの気持ちとは違うね。

その他草間さんの初期の作品やニューヨーク時代の作品もありましたが、アンディ・ウォーホルの物まね的な作品もあり、それほど興味をひかなかった。

「無限の鏡の間」では鏡で囲まれた暗い部屋の中では、赤や黄色、緑に青とカラフルに輝くたくさんの電球が天井から吊るされています。真っ暗で一瞬足元がおぼつかなくなりそうでしたが、なかなか面白いアイディアです。

事前の評判通り、グッズの販売をやっている売店の混みようったら、前代未聞です。長いこと美術展を見てきましたが、これほど関連グッズが売れるのは初めてでしょう。草間さんの恐るべきパワーです。

2017041910.jpg

屋外に巨大なかぼちゃのオブジェが展示してありました。

このあと皇居に向かいました。続きます。

OM-D E-M5、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8、P9LITE
  1. 2017/04/19(水) 17:07:36|
  2. 美術展
  3. | コメント:0
次のページ