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つげ義春

今夏、異常な暑さで外出もままならず、家に籠っていることが多かった。いつもなら本でも読んで時間をつぶすんですが、とてもそんな気にはなれなかった。そんな折図書館でぶらぶらして見つけたのが「つげ義春全集」でした。おっ久しぶりにまた読み返してみるか。

つげ義春のマンガに初めて出会ったのは十数年前、それから何年かおきに読み返しています。子供のころからさほど漫画には興味も湧かず、大人になってからもちらっと立ち読みをする程度でした。なんでつげ義春の名前もまったく知らなかった。

ところが初めて手に取ったつげ義春全集の「ねじ式」を読んでビビッときた。なんだこのマンガは!シュールでわけが分かんない、世の中にこんなマンガを描く人もいたんだ。メメクラゲに噛まれて左腕の静脈を切断され、医者を探して死の恐怖におびえながらさまよっている。やがて婦人科の女医によって少年の切れた静脈はつながれた。「ねじ栓」によって・・・。

この「ねじ式」で興味を持ち、次に読んだのが「大場電気鍍金(メッキ)工業所」。これは作者自身が体験した(小学校卒業後、13歳から17歳の間)メッキ工が元になった内容です。下請けメッキ工場の悲惨さはともかく、オカミさんと職人の三好さんのエロい場面にはドキッとした。肉感的で多情なちょっと年増の女性を描くのがとっても上手だ。そうかこの作者は不条理なシュールな世界を描くだけでなく、こんなエロいものも描くんだ、ニカッとしてますますのめり込んで行きました。

そして、

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上段: <ねじ式> <大場電気鍍金工業所> <大場電気鍍金工業所>
中段: <海へ> <やもり> <李さん一家>
下段: <ゲンセンカン主人> <義男の青春> <イラスト>

図書館にあるくげ義春のマンガを読みつくしました。ここにあげた作品はほんの一部です。ほぼ全作品を眺めてみますと、貸本マンが時代に描いたちょっと稚拙なものからタッチが劇的に変化して行くのには驚かされます。「つげ義春全集 別巻」は自身の半生の記もあり興味深かったです。とにかく貧乏、精神疾患、病気等々波乱に満ちています。あの水木しげるさんのアシスタントも短期間だけどやったことがありました。

こうして何度も繰り返して読みたくなるのは、描かれている昭和の時代に郷愁を感じることもありますが、作品ひとつひとつが短編小説の趣があり、その都度違った解釈、感じ方が出来る事かもしれません。1970年前後に若者の間につげブームがあったそうですが、はたして今の時代に受け入れられるのか分かりません。1937年生まれで現在80歳です。もうお仕事はやっておられないようです。

余談ですが、

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雑誌「サライ」9月号は『ビッグコミック』創刊から半世紀 を記念して、日本の漫画特集です。その中でつげ義春の「ねじ式」も取り上げられている。
~ストーリー性を逸脱した内容は革新的で当時の漫画界は黙認したが後の表現者に多大な衝撃を与えた~(抜粋)
と紹介されている。
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aki

Author:aki
aki=mikun(鉄道コム)
昔は自転車乗り、今はカメラ片手に神奈川、東京をぶらぶら。
小田急や東海道沿線で電車の写真を撮っています。