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MOA美術館~「奇想の又兵衛」/山中常盤物語絵巻 ② (追記)

「山中常盤物語絵巻」とは、
義経伝説をもとにした物語「山中常盤」を題材とした全12巻、全長150m超える極彩色絵巻です。前半は母常盤午前の殺害、後半には牛若丸による仇討の場面が描かれています。誇張された人物表現によるドラマチックな表現が見どころ。


今回その12巻が一挙公開されてます。

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絵巻に沿って各巻ごとに簡単なあらすじが書いてあるので分かりやすい。

極々簡単にあらすじを追っていくと、


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15歳になった御曹司牛若丸は、驕る平家を討つために京都・鞍馬から東国の地に向かい、奥州の藤原秀衡之館に迎えられた。


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行方を案じていた母、常盤はそうと知り、一日千秋の思い出牛若丸のいる奥州へと侍従(乳母)を従え、旅立つ。しかし、それはあまりにも遠く、つらい旅だった。長旅の疲れに常盤は美濃国山中の宿で病に伏す。


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その常盤を六人の盗賊が襲ったのだ。


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盗賊が常盤と侍女の着物を剥がして逃げていく。


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「小袖を残す情けもないなら、わが命をばとられよ」と叫ぶ声に、盗賊たちは逆上。


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せめくちの六郎は、常盤の黒髪に手を巻き付けて胸を刺す。もがく常盤の肌から血の気が失せる。ついに命を絶たれる。


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宿の老夫婦が駆けつけ、常盤の裸身に小袖を掛けて介抱する。遺言を終え合掌して息絶える可憐な常盤の顔。

一方、牛若丸は夢にうつつに現れる母が気がかりになり、京へ。


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奇しくもその惨劇が起きた宿に、事もあろうその翌日、泊まる。宿の主人より事の顛末を知らされて、盗賊をおびき寄せるや盗賊全員バッサ、バッサと退治。死骸を淵に沈めて秀衡の館に戻る。


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それから三年三月後、牛若丸は大軍を引き連れて京の都に京攻め上がるが、


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途中、山中の宿で母、常盤の墓前で手厚く回向し、宿の主人夫婦に土地を与え、恩に報いたのだった。これでおしまいです。

ふぅ、さすがに全12巻を見るのは疲れる。事前に別冊太陽「岩佐又兵衛」等で予習をして行ったんで、戸惑うことはなかった。初めてこの絵巻を雑誌で見た時はそのおぞましい、生々しい描写に嫌悪感を覚えましたが、慣れは恐ろしいですね。盗賊の特徴ある漫画チックの顔がなんともこっけいだ。盗賊の首が飛んで鮮血が飛び散る描写は最初はアップするのが憚れましたが、重要文化財の価値ある絵巻ということでのっけました。白い肌に鮮やかな血を滴らせて息絶えていく姿を常盤が殺害される場面は最後まアップを迷いました。このエキセントリックな描写は、母を含めて一族を信長に皆殺しにされた又兵衛の心の奥底に宿っていた何かの発露かも知れない。この絵巻が描かれたのは江戸時代初期(17世紀前半)です。当時の武士の姿、衣装、刀剣類、などが克明に描かれていて興味深かった。

この後「浄瑠璃物語絵巻」や「堀江物語絵巻」などの重要な絵巻があったんですが、「山中常盤物語絵巻」の12巻で力尽きました。もうじっくり見る気力がなくなってました。でも今回の岩佐又兵衛は、自分の長い美術鑑賞の歴史の中でも異色の存在として記憶に残ると思います。

今まであげた絵巻物を又兵衛ひとりの筆になるとは考えにくい。そこで又兵衛工房の存在が考えられる。①又兵衛が作品の構想を練り②下書きを行う③彩色や文様などの細かい指示に従い又兵衛の画風に習熟したリーダー格の絵師が、下の絵師を使い分担して進める④最後に又兵衛が仕上げのチェックを行い、必要によって落款を入れ作品を完成させる。まさしく現代のマンガやアニメの制作現場そのものである。


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2Fのメインロビーからの眺めが素晴らしかった。


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こんな天気のいい日に鉄っちゃんをやりたいものです。


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能楽堂もありました。

たっぷり2時間ほどいて、バスで熱海駅に戻ります。また機会があれば来たいですね。

駅前の平和通り商店街を少し見て、


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帰りました。
(撮影2019.9.02)

E-M5 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

<追記>
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【参考文献】
「血と笑いとエロスの絵師 岩佐又兵衛」 辻惟雄 山下裕二 新潮社
「岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎」 辻惟雄 文藝春秋
「別冊太陽 岩佐又兵衛」 平凡社 2017年2月25日
「芸術新潮」 新潮社 2019.2
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aki

Author:aki
昔は自転車乗り、今はカメラ片手に神奈川、東京をぶらぶら。
小田急や東海道沿線で電車の写真を撮っています。
<主な使用機材>
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M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm f2.8 PRO