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40年ぶりの向田邦子

きっかけはNHK深夜便の「ラジオ文芸館」でした。ここで向田邦子作の「三角波」が流れた。男と女のよくある三角関係の話かと聞いていたら・・最後のどんでん返しに眠気が覚めた。そうゆうことだったのか、やるねえ。

結婚を間近に控えたOLの巻子。結婚相手の達夫は証券会社のやり手の若手係長。そして波多野は達夫の二年後輩で、先輩の達夫に卑屈なほど仕え、達夫と巻子のデートの帰りの運転までする。しかし巻子は波多野の自分を見る粘っこい視線にもしかしたら自分が好きではないかと落ち着かない。結婚式当日波多野は病気を理由に欠席をする。巻子はいやがらせではないかと思いこむ。新婚旅行の夜、これからベッドインという時刻に波多野から仕事の電話が入る。巻子はこれも波多野の嫉妬ではないかと思う。そして新居でのある朝、玄関に波多野の姿があった。その視線の先は巻子ではなく夫の達夫に向けられていた。巻子は波多野が好きだったのは自分ではなく達夫と知る。(あらすじ)

向田邦子の名前を久しぶりに聞きました。もちろん知っていましたが、どちらかといえばシナリオライターという存在であまり関心がなく、作品はまったく読んだことがなかった。「父の詫び状」「あ・うん」「阿修羅のごとく」などの作品の名前は知っていましたが。

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さっそく図書館から「向田邦子全集」(文藝春秋)を数冊借りてきました。短編の題材は家庭、男と女の話という身近なものが多い。読み始めて改めて文章のうまさに驚きました。平凡な男と女の関係に秘め事やちょっとしたサスペンスを感じる構成に脱帽。最後の一行に何かを予感させ、すんなり終わらせてくれない。

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あわせてこの「向田邦子を読む」(文春ムック オール讀物責任編集)も向田邦子という人物を知るうえで大変参考になりました。

向田さんが台湾で航空事故で亡くなられたのが1981年8月22日でした。前年に第83回直木賞を受賞したばかりでした。亡くなられてもうすぐ41年です。遅まきながら猛暑で外出もままならぬこの時期、家でじっくり読まさせてもらいます。それにしても本という宝の山は一生かかっても掘り起こせそうにそうにない。今回の向田さんのことでつくづく思い知らされました。
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aki

Author:aki
aki=mikun(鉄道コム)
昔は自転車乗り、今はカメラ片手に神奈川、東京をぶらぶら。
小田急や東海道沿線で電車の写真を撮っています。